最近急増している合同会社とは、他の会社形態とは明らかに異なる特徴がありますので、ここで取り上げたいと思います。

会社法における会社設立の形態 

 合同会社は社員全員が有限責任の社員(会社法576条4項)をもって構成します。
また有限責任社員とは、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う(会社法580条2項)とし、間接有限責任のみを負担します。 
 合資会社は、有限責任社員と無限責任社員がいます。「改正前商法」においては146条の規定で合名会社の変種として規定されてきた経緯があります。
 合名会社は、会社類型の中で最も原初的なもので、事業主個人が複数人となり、共同事業化した状態を想定した会社形態であり、無限責任社員のみで構成されるものです。

 従来の法律では、「合名会社・合資会社」をあわせて「人的会社」と呼ばれていたのですが、新会社法施行後では「合名会社・合資会社・合同会社」の3つを併せて「持分会社」と呼ばれるようになっています。
 現在の会社法では、会社形態の種類をおおまかに「株式会社」と「持分会社」の2つに分けています。

合名会社、合資会社、新設された合同会社とは、「持分会社」の類型(第575条1項、第576条1項)となります。
 株式会社については、
①剰余金の配当を受ける権利
②残余財産の分配を受ける権利
③株主総会における議決権を有すると規定(第105条1項)しています。

 持分会社については、議決権が出資の価額に応じるという規定にはなっていないのですが、株式会社の株式と同様に、持分会社の持分について、社員の持分の差し押えは、利益の配当を請求する権利に対してもその効力を有する(第621条3項)、更に、残余財産の分配の割合について、定款に定めのない場合には、その割合は各社員の出資の価額に応じて定める(第666条)ことから、株式会社の株式と持分会社の持分とは類似したものと考えられます。

持分会社での合同会社特有の特徴

 合同会社では、合名・合資会社ともその性質が異なり無限責任社員がおらず、債権者保護手続きが必要となるため任意清算は認められません(会社法666条1項)。その1点から、持ち分会社でありながら、合同会社は、旧会社法での旧有限会社のうち閉鎖性の高い会社形態であり、今後、閉鎖性の低いものを株式会社へと移行させていく意向と思われます。