ポーズとしての訴えてやる

暫く時間が経って、忘れられた感じの佐村河内氏騒動ですが、3月の都内での会見において。謝罪こそしたものの、「耳に関することすべて、新垣さんはうそを言っています」、「新垣さんほかを名誉棄損で訴えます」など強気の姿勢を示していたものです。しかし、訴訟を起こす気配がないまま、5月になりました。結局は、会見では『訴える』と強気だった佐村河内氏だったのですが、あくまでも新垣氏を牽制するためのポーズだったことが判明したようです。

訴えてやる!は脅しか?

巷間、「訴えてやる!」と相手に云った場合、わたしどもの経験でも現実に、ランサーのホームページ制作トラブルに取り上げた問題において生じたのですが、相手はなにを思ったのか、「脅かしだ!脅迫だ!」と反論してきました。実際にそのように考える相手方も多くいるのでしょう!

今回の当事者であるランサーは、司法書士事務所として、「(責任や義務を履行しないなら、)訴える。損害賠償を請求する。」と電話で述べたことを指して、「電話でも訴えるとか損害賠償を請求するだとか脅しのようなこと」を云われたと、返してきました。

もしも本当に訴えるつもりで言ったなら

確かに、『告訴の意思がなく、又その意思が不確定であるのに、ことさらに告訴すべきことを通知するのは、害悪の告知に他ならない』として、脅迫罪の成立を認めた判例(大審院 大正3年12月1日)があります。
しかし、もしも本当に訴えるつもりで言ったなら、告訴は正当な権利の行使ですから、脅迫罪にはなりません!
訴えるとは、「裁判所に申し出て判決を請う」という意味ですから、憲法で保障された正当な権利を行使することを明確にしただけのことなので、脅しにもなりません。ただ、訴える代わりに、理由もなく金銭を要求された場合は別の問題ですからご注意下さい。

ですから、不法行為なりをした場合には、まずは誠実に応じて、なんらかの解決をめざすべきなのでしょうが、最近では、ネット上での匿名性をいいことに、責任から逃れ、どうせ訴えてはこないと考える方が増えているような印象があります!

 訴えたい、訴えられた。そんな時は、ご相談を。