すでに4割が閉鎖、創価大が健闘&青学はワースト4位

「今年もいくつかの法科大学院が募集停止に追い込まれるだろう」

 こう語るのは、資格試験に定評のある専門学校の関係者だ。事情を知る者にとっては特に過激ではなく、妥当な観測といえるのではないか。

 最盛時には75校を数えた法科大学院も、一部の統合(香川大と愛媛大)などを挟んで、現在までに30校が募集停止を決め、残るは44校。新司法試験開始以来、わずか10年で早くも4割が消えてしまったことになる。
 
 今後についても明るい展望は見いだしづらい。司法試験の合格者数の削減方針、法科大学院別の補助金のランク付けにより外堀を埋められ、一方では法科大学院を経ずに受験する予備試験組の台頭によって存在を脅かされている。さらに弁護士自体の職業としての魅力にも影が差しているようだ。長年にわたって弁護士業界に特需をもたらしてきた消費者金融の過払い金返還が、ピークを越えたからだ。
 
 関係者の指摘するように、今後本格化する今年の法科大学院選抜試験の動向を受けて、存続を断念するところが複数出ることは想像に難くない。

 すでに語り尽されているが、今日の惨状を呼んだのは、やはり初期設定の誤りであろう。明確な基準や線引きを設けないまま、拙速にシステムを導入したために当初から乱立状態になり、お決まりの供給過剰の挙句、現在の廃校ラッシュに至った。多額の費用を負担しながら、涙を飲んだ院生も多いのではないか。目標を国家公務員試験や司法書士試験に切り替える者もいると聞くが、法科大学院出身者としては不本意であることは確かだろう。

●意外な大学別合格率

 改めて法科大学院の発足以来の平均合格率(10年間累計)を調べると、興味深いことがわかる。意外な大学の法科大学院が健闘しており、また逆に苦戦しているのだ。
  
 たとえば、合格率でトップ10に入った千葉大(7位)と愛知大(8位)。ランクインしたのは首位の一橋大以下、ほかはすべて旧帝大と慶應義塾大、中央大と旧試験でも高い実績をあげていたところばかりだ。両校とも定員の少ない点が有利に働いている可能性はあるが、それでも累計で3桁の合格者を出しており、少数精鋭であることは間違いあるまい。
 
 中位クラスでも明治大、岡山大、同志社大など旧試験の実績組が並んでいるが、創価大が好位につけているのが目を引く。3校いずれも資格試験では相応の実績を持っており、わけても愛知大と創価大は資格に強い私大として知る人ぞ知る存在だった。

 その意味では、フロックとはいえないものの、入学難易度が同レベルの私大の多くが退場を強いられるなかで、国公立大学のトップクラスの大学院と遜色のない成果をあげているのは評価されて良いだろう。

 一方で苦戦を強いられているのは、MARCHで唯一、合格率下位グループにある青山学院大と、法律学校として出発し法学部を看板にしている日大だ。いずれも合格率は10%程度にとどまり、存続している法科大学院のなかで日大はワースト3、青山学院はワースト4になる。同じ水準はもちろん、中位グループでも募集停止校が続出していることからも、現状のままでは不測の事態に陥ることもあり得るだろう。

 創設時の輝かしいイメージがすっかり色あせてしまった法科大学院だが、それでもわずかな救いは意外な勝ち組校に見られるように、固定化して久しい大学の序列がそのままトレースされなかったことかもしれない。
(文=島野清志/評論家)

【過去10年累計の法科大学院別平均合格率】

(1)合格率30%以上
一橋大、東大、京大、慶應大、神戸大、中央大、千葉大、愛知大、大阪大、北大、早稲田大、首都大学東京、名古屋大、東北大

(2)同20%以上30%未満
大阪市立大、九州大、上智大、明治大、岡山大、同志社大、創価大、南山大、広島大、★山梨学院大、横浜国立大

(3)同15%以上20%未満
関西学院大、立命館大、学習院大、金沢大、立教大、法政大、福岡大、★成蹊大、★中京大、関西大、琉球大、★新潟大、甲南大、★広島修道大

(4)同15%未満
専修大、筑波大、★熊本大、近畿大、名城大、北海学園大、★神奈川大、青山学院大、★静岡大、★白鴎大学、西南学院大、★関東学院大、★東洋大、日本大、★香川・愛媛大、駒澤大、★信州大、★島根大、★明治学院大、★東北学院大、桐蔭横浜大、★神戸学院大、★國學院大、★大宮法科大学院、★久留米大、★獨協大、★龍谷大、★駿河台大、★鹿児島大、★東海大、★大東文化大、★京都産業大、★愛知学院大、★大阪学院大、★姫路獨協大
(★は募集停止を決めた大学院)