決算公告のみを電子公告にする場合

 株式会社などの場合に、すでに独自ドメインを取得されている方は、決算公告を電子公告にして以下のとおりに登記されることで、官報公告をしなかった場合の過料を回避出来る場合があります。ただし、あくまでも、特例であり、決算公告に限定したものです。

 また、絶対的記載事項ではありませんが、定款に記載することで、決算公告のみをインターネット上のホームページに掲載することも可能です(会社法第440条3項、一般法人法第128条第3項、第199条)。
 この場合には、貸借対照表等が掲載されるウェブページのURLを登記する必要があります(会社法第911条第3項第27号、一般法人法第301条第2項第17号)。

1.電子公告に関する記載

電子公告とする。
http://www.○○○○○.○○○○
ただし,電子公告による公告をすることができない事故その他やむを得ない事由が生じた場合は,官報に掲載してする。

「貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項」 http://www.○○○○○.○○○○

2.決算公告のみを電子公告に関する記載

当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
「貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項」 http://www.○○○○○.○○○○

「電子公告システム」検索

 法務省において、「電子公告システム」検索が提供されていますが、決算公告のみについてはあくまで特例であって、検索されないもようです。

 このシステムでの情報は、会社法第946条第3項の規定に基づき電子公告調査機関から報告された事項を反映しているものであり,公告の適法性・有効性を保証するものではありません。

 提供している情報は、以下のとおりです。
①電子公告を行っている会社・法人の商号又は名称
②公告すべき内容を規定した法令の条項
③公告アドレス(公告が実際に掲載されているホームページのアドレス)
④公告期間(開始日及び終了日)
⑤電子公告を行っている会社・法人の本店又は主たる事務所の所在場所
⑥備考(公告期間中に上記の事項に変更が生じている場合における変更後の情報が別である旨の注意書き等)

検索の対象事項は,以下の5項目です。
商号又は名称
②法令の条項
③公告開始
④本店又は主たる事務所の所在地
⑤備考

電子公告調査機関への調査の委託

 法律の規定による公告を電子公告によって行おうとする会社等は、決算公告の場合を除き、公告期間中、電子公告が適法に行われたかどうかについて、法務大臣の登録を受けた電子公告調査機関の調査を受けなければならないとされています(会社法第941条、一般法人法第333条)ので、十分にご注意下さい。公告期間は5か年であり、費用も数万~30万円が必要となります

 まや、帝国データバンクなどの外部サイトにおいて、公告する手法もありますので、電子公告を検討する際には、ぜひ対費用効果とリスク面を考察することが肝要です。