「東京都行政書士会会員Webサイト作成指針」に従い、東京都行政書士会会員宛に出された会社設立などでの注意事項が田無支部から発せられています! 
 本来行政書士全てが守るべき事項ですから、下記に転載しました。原文はこちらです。
   
 同じ士業としても、あくまでも法令遵守の上で依頼人に取って最良の業務を提供したいものです。提携での司法書士、社会保険労務士業務、弁護士顧問などビジネス・コープ 櫻ビジネス倶楽部において提供していますので、ぜひご相談下さい。

                

  会社設立などのホームページの表現・ 表示について

  ホームページ作製の際には,法令,会則等を遵守し,また,行政書士の品位を保持し,平成22年2月1日施行「東京都行政書士会会員Webサイト作成指針」に従い,表現・表示等を行うよう,依頼しているところですが,全国の行政書士ホームページには, 依然として法令等, とりわけ司法書士法並びに弁護士法に抵触すると思料される表現・表示が多く見受けられるところです。

 当委員会では, 無作為に行政書士ホームページを閲覧し, 懸念される表現・ 表示等を抽出し,別紙のとおり取り纏めましたので,報告します。
 支部会員におかれましては, ホームページの表現・ 表示等については, 行政書士法はもとより,他士業法,法令を精査し,行政書士倫理や品位を保持していただくよう,お願いする次第です。

 尚, 別紙記載の内容は, 個々 のホームページを特定するものではなく,一般的な解釈による疑義の懸念があるものを例示し,問題点を検討したものであることを申し添えます。

 1 .「会社設立」に関する不適切或いは違法と思われる表示例

  
  表示例

1)登記申請書の作成,役員変更書類作成、商号変更書類作成、目的変更書類作成、増資書類作成、本店移転書類作成、有限会社から株式会社への変更書類作成
2)会社設立登記まで代行
3)法務局にて登記申請
4 )当事務所のサービスは、 法務局への申請までを含めた完全代行サービスです
5)会社設立は、行政書士の職分

その他)「提携司法書士」との表示があっても,報酬に関して「行政書士報酬」のみ記載であり,提携司法書士の氏名・事務所名等の表示が無く,提携の真偽が不明な事例

  問題点

1)「本人申請」であっても,登記申請書類の作成は司法書士の業務。(司法書士法第三条二号)(平成20年1月16日最高裁判所第二小法廷決定)
2)代行であるから申請代理行為ではない,との解釈はできない。業務(報酬の有無は問わない)で行う以上司法書士法違反の疑いがある。
3)4)上記同様,司法書士法違反の疑いがある。
5)株式会社について,会社法第四十九条は「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。」 とし,「 会社設立」 がその成立までを意図したものであれば,行政書士の職分とは言えない。

その他) 提携司法書士について明確な表示がないことは,「 提携」 の事実は無いものとの推定せざるを得ない。

 2 .「離婚問題」に関する不適切或いは違法と思われる表示例

  
  表示例

1)通知書作成代理人として、上限であろうと思われる300万円を請求
2)慰謝料請求に関するトラブルを解決
3)離婚協議書に国家資格者の職印を押印致します。国家資格者の職印を押印することにより、真正な契約を交わした証明となります。
4)弁護士や社会保険労務士,司法書士,税理士,ファイナンシャルプランナーなどと連携
5)私達が相手の代理人となり,公正証書の作成を行います。

  問題点

1)慰謝料の金額についての「法律的判断」が含まれ,弁護士法に抵触する虞があるものと思われる。
2)「トラブルを解決」は「非弁行為」そのものである。
3)行政書士の職印は行政書士法施行規則第十一条において定めることとされ,同法第九条第2項において「作成した書類に記名して職印を押さなければならない」とされているが,行政書士の職印の押印をもって「真正な契約を交わした証明」となる根拠は同法はもちろん他法においても見いだすことはできない。職印の押印は,その書類の作成に当該行政書士が関与し,作成義務者たることを顕名することが,主たる目的であると思われる。そこには,当然に責任が発生する。
4)1.その他)と同様に,「連携」等については,その連携士業者について,明示すべきと考える。他士業者の職域に関する事案となった場合に,知己の他士業者へ業務依頼するのみであれば,「 紹介」 と表示することが望ましい。
5)原則的に民法第百八条に違反する。また「公正証書の作成を行う」という表示は,行政書士が公正証書を作成する者であるとの誤認を招くことになる。

 3 .「紛争事案」に関する不適切或いは違法と思われる表示例

  
  表示例

1 )市民法務・トラブル解決, あなたのトラブルの解決をサポート
2)示談交渉のコツや進め方、その他示談に関する悩み等についてメールでのコンサルティング
3)内容証明がトラブル解決の尖兵となります

  問題点

1 )「トラブル」と表示しているホームページが多いが, トラブルは「紛争事案」と解される虞があるので,注意が必要である
2 )「示談交渉のコンサルティング」 について, 当該ホームページで報酬の要否を確認することができなかったが,業務として行うことには問題があると考える。
3)「トラブル」と表示しているホームページのほとんどが,「内容証明」の作成を業務とするものであった。
依頼者の一方的意思表示たる内容証明の作成は当然に行政書士の業務である。但し,依頼者の意思そのものを変更させる,或いは,依頼者の意思にはなかった内容まで付加する等の行き過ぎたアドバイスをすることには問題なしとは言えない。また,受託当初から紛争事案であったり,紛争事案に発展することも少なくないことから,注意が必要と考える。

 4 .「 戸籍謄本住民票の写し等職務上請求書」 に関する不適切或いは違法と思われる表示例

  
  表示例

1)住民票・戸籍謄本・戸籍附票など公簿の取得代行・取寄せ代行サービス
2)相続に必要な戸籍の取り寄せを全て代行致します

  問題点

1),2)戸籍法第十条の2第3項は「受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、 戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。」 としている。つまり,戸籍謄本等の取得は,それ単独で行政書士の業務たり得ないことに注意が必要である。
 当該ホームページには,取得代行のみを行う表示,また,取得代行のみの報酬額を表示している。取得代行のみに「 戸籍謄本住民票の写し等職務上請求書」を使用することは,同法違反の疑いがある。
 一方,戸籍法第十条第1項に記載されている者からの委任による代理人の交付請求は認められている。しかしながら,上記「取得代行」は,委任による代理行為であることを付言していないことから,「 戸籍謄本住民票の写し等職務上請求書」 を使用しての「取得代行」であることが推察される。よって,戸籍法に抵触すると判断する。

 5 .「本人確認」に関する不適切或いは違法と思われる表示例

  
  表示例

1)面談の必要もありません。郵送のやりとりのみです
2)申込み方法 電子メール,電話
3 )ご依頼の際に必要な内容・・・・ご依頼者様( 相続人)の氏名・住所・被相続人との続柄・電話番号・・・・

  問題点

1),2),3)いずれも,依頼者の本人確認をする旨,或いはその方法が表示されていない。真正な依頼人であるかどうかの確認をせずに受託することは,問題がある。また,犯罪による収益の移転防止に関する法律第四条第1項表中下欄に定める取引である場合は特に留意する必要がある。

 6.その他

業務の受託を行うには,特定商取引に関する法律,消費者契約法等にも留意する必要がある。

ホームページではないが, ブログ上に「行政書士の代理権」 に関する記述があった。 そこでは「独自の見解」,少なくとも「定説」 ではない解釈を披見している。

また,成年後見制度に関しても,任意後見人(受任者),法定後見人等について,「資格」を要さないことから,「 行政書士の業務」 としているものが見受けられる。
東京都行政書士会では一般社団法人成年後見支援センターヒルフェを, 日本行政書士会連合会では一般社団法人コスモス成年後見センターを設立し,社団の社員による「職業後見人」としての地位確立を図っていることから,社員以外の行政書士の「業務」であると積極的に是認していると解するのは難しい。

上記「代理権」,「成年後見人」の解釈については,「人」の概念を「行政書士の資格業務」に持ち込んでいるが,「人」と「行政書士の資格業務」は,その根拠が全く異なることから,同一視して論ずることはできないと考える。